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分かりやすい?SKYACTIV-D 技術解説


わかりやすい?SKYACTIV-G 技術解説

に引き続き、今度は ディーゼルエンジンである、SKYACTIV-D についての情報をまとめてみました。

SKYACTIV-D の概要

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図1: SKYACTIV-Dエンジン

SKYACTIV-D の特徴は、

1) 低圧縮比 14 で、現行比約 20%の燃費改善
2) 2ステージ・ターボ・チャージャーの採用
3) 後処理無しで、欧州ステージ6、北米Tire2Bin5、日本ポスト新長期規制をクリア

と大きく 3つあります。

今回の SKYACTIV では、ガソリン・エンジンは、より高圧縮を目指し圧縮比が 14になり、ディーゼル・エンジンは、より低圧縮を目指し、圧縮比が14になる。という寄しくも同じ圧縮比になりました。

また、マツダの発表ではこれまでのディーゼル・エンジンよりもトルクが増え、燃費も良くなったとされています。

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図2: SKYACTIV-D の燃費性能

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図3:SKYACTIV-D のトルク性能

実際にものが出てくるまでよくわかりませんが、雑誌のレポートなどでは、「トルクが増えた」「上までよく回る」などの高評価を見ることが多いです。

ディーゼル・エンジンの仕組み

ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと違い、プラグで点火するのでは無く、圧縮されて高温になった空気中に、直接燃料を吹き込む事で着火させます。
シリンダー内の温度をできるだけ上げるため、ディーゼル・エンジンの圧縮比は、16~18と比較高めにする必用があります。
高い圧縮の力に耐えるため、エンジンブロックなどの部品は丈夫に作る必用があり、一般的にガソリンエンジンよりも大きく重たくなります。

また、ディーゼル・エンジンは、黒いススや NOx は出るのですが、二酸化炭素の排出量が少ないため、ヨーロッパなどでは、ディーゼルエンジンがエコなエンジンとしても広く受け居れられています。
ヨーロッパで受け入れられているのは、交通事情が違い、日本のように密集した環境で交通渋滞がよく起きる環境では無いため、ススなどの悪いイメージが無い。というのもよく言われる点です。
日本ではディーゼル・エンジンを販売していないメーカーも海外では発売しているのは、お国柄の違いになります。

ディーゼル・エンジンは、プラグによって燃料に着火するのでは無く、圧縮されて温度の上がった空気に対して燃料を吹きかけて自己着火を起こして爆発させます。
そのため、燃料にはガソリンでは無く、より発火点の低い軽油が使われます。
話が脱線しますが、不思議な事に、火の付きやすさは軽油の方が上なのですが、揮発しやすさはガソリンの方が上で、ガソリンの方がより取り扱いに注意が必要になります。

排出ガス規制と燃費の悪化

ディーゼルエンジンで、理論上最適な効率が得られるのは、ピストンの上死点部分に来た時に燃料を噴射する事なのですが、この一番温度の高いポイントで燃料を噴射すると、噴射した燃料が空気と混じり合う前に着火し始めるため、不均一な燃焼が起きます。
熱い圧縮空気に対して燃料を噴射すると、燃料がシリンダー内に広がる前に、吹いたそばから、ドンドン燃焼していきます。
そのためどうしても燃焼が局所的になり、高温燃焼による NOx や酸素不足で燃料がリッチな部分でのススが生成されやすくなります。

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図4:圧縮比による燃焼の違い

図4の左側に見られるように、高圧縮時に燃料を噴射すると、燃料が広が前に(燃料が濃い状態で)燃料に着火します。余った燃料はスス等を形成します。
このような状況になるので、昨今の厳しい排出ガス規制では、できるだけ排気ガスをクリーンにするため、ピストンが下降し圧力と温度が下がってから燃料を噴射せざるおえなくなってきました。
つまり、すこしだけ空気の温度が下がった状態のシリンダーに燃料を吹き込む事と、すぐには着火しないので、そのわずかな間に噴射した燃料と空気の混じり合う時間を稼ぐ事ができます。
ただ、この方法では、ピストンの一番高い位置で爆発させた場合と違い、仕事量が稼げなくなるという別の問題点もありました。

低圧縮下での燃焼

高温時に噴射する事が問題であれば、圧縮比を下げてシリンダー内の温度を下げてしまったのが SKYACTIV-D です。

圧縮比を下げた場合は、ピストン上死点における圧縮温度・圧力は低くなるため、上死点付近で燃料を噴射しても着火までの時間がかかるようになります。そのため、前述したようにその間に燃料と空気の混合が促進されます。
燃料と空気がよく混じり合うようになるため、噴射直後に着火してしまう場合よりも、NOx やススの発生を抑える事ができます。

また、上死点付近で点火する事で、高圧縮ディーゼル・エンジンの実際の仕事量より(もともとピストン上死点で着火できていない)、大きな仕事量を取る事ができるようになったとの事です。

ただし、圧縮比を下げるとディーゼル・エンジンの特性上、燃焼が不安定になるため、さまざまな技術が投入されています。
どの技術が決定的に効いている。という事では無く、複数の技術を効果的に組み合わせる事で、14という低圧縮比を達成しているようです。
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図5:従来エンジンとの仕事量の違い

図5のように、同じサイズのエンジンであれば、ピストンの最上部で点火できない高圧縮比エンジンより、SKYACTIV-Dの方が大きく仕事量が取れます。
同時に燃料は、一度に全て噴射するのでは無く、シリンダーが動いて行く仮定で複数回にわけて噴射するようにしています。

低圧縮化によるメリット

低圧縮化はつまり、エンジンのブロックや各部にかかる力が減る事を意味します。そのため、エンジンの各部品の構造を高圧縮エンジンより軽く作ることができるようになりました。
強度を稼がなくてよいのであれば、材料も以前とは違うものが簡単に使えるようになります。
シリンダーブロックは、アルミ化が可能になり、単体で従来比で25kg の軽量化がされました。シリンダー・ヘッド、エキゾースト・マニホールドの軽量化も行われています。
また、ピンストン単体の重量は25%軽量にできたそうです。
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図6: 低圧縮時の機械抵抗の低減

また、各部にかかる力が減ったため、同時に機械抵抗も大幅に低減できるようになり、平均的なガソリンエンジン並みを実現したと発表されています。
図6でわかる通り、現行のディーゼルエンジンよりもガソリンエンジンに近い特性を見せています。

採用されている技術

低圧縮化するとは言え、それは同時にディーゼルエンジンの動作原理上、火がつきにくくなる事を意味します。
燃焼を制御するために、幾つかの技術が投入されています。

マルチ・ホールド・ピエゾ・インジェクター

簡単に言ってしまうと、小さな穴がたくさん空いたインジェクターです。いろいろなパターンで燃料を噴射する事で適切な燃焼ができるようにしています。
このインジェクターは、能力として(実際にはそこまで使っていないと思われますが)1回の燃焼で、最大で9回の燃料噴射が可能だそうです。

1度に全ての燃料を噴射するのでは無く、プリ、メイン、アフターの3回に分けた燃料噴射を基本に、走行条件によって、多彩に噴射パターンを調整します。
これによりシリンダーの空気を効率的に使って、燃料を燃焼させています。

排気側バルブへの VVL の採用

排気側のバルブに VVL( Variable Value Lift : 可変バルブリフト機構)を採用しています。
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図7:可変バルブリフト機構
吸入行程中にわずかに排気バルブを開ける事で、排気ポートの高温の残留ガスをシリンダーに流入(つまり逆流)させ、空気温度を高めて圧縮時の温度上昇を促進し、着火安定性を高めています。

2ステージ・ターボ・チャージャー

SKYACTIV-D は、大小2個のターボ・チャージャーを装備しています。
トルクの向上のためでもありますが、同時に最適な燃焼を助け、排気ガスのクリーン化と、燃費改善の役割も果たしています。

大小2個のターボ・チャージャーを運転領域によって使い分ける、2ステージ・ターボ・チャージャーを採用しています。

これによって、低回転域での高トルク、高レスポンス、高回転域での高出力を実現すると共に、大量EGR(排気ガス再循環)下でも、十分な量の空気(酸素)を確保する事が可能になり、最適な燃焼を可能にしています。

EGR(イグゾースト・ガス・リサーキュレイション)は、排気ガスの一部を吸気に回してあげる方法で、ディーゼル・エンジンで一般的に行われる方法です。

EGRで、再度吸気に回される排気ガスは大量のCO2を含んでいます。CO2は温度が上がりにくい性質を持っています。そのためCO2がたくさんあると、燃焼の温度を下げる事ができます。
燃焼の温度を下げる事のメリットは、燃焼温度がある程度下がると、有害物質である NOx の量が下がる事になあります。N(窒素)とO(酸素)を結びつけるには有る程度の高温が必用なためです。
NOx が多いと、環境基準に適合するためのいろいろな排気ガスの後処理装置が必用になります。NOを減らす事は車としてのコストを下げる事にもつながります。

もちろん、排気ガス(CO2)を、シリンダー内に大量に供給すると、今度は燃焼に必用な酸素が不足してしまいます。
そのため、ターボ・チャージャーを使って燃焼に必用な酸素を押し込んであげます。
排気ガスの循環でCO2を送り込んで燃焼温度が上がりにくくしてあげる同時に、ターボーチャージャーで必用な量の酸素も押し込んであげる。という事をしています。

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図8:2ステージ・ターボ・チャージャー

後処理無しの排ガス規制のクリア

ディーゼル・エンジンの排ガス規制は厳しくなる一方です。
例えば、去年発売された、メルセデス・ベンツのディーゼル車は、新しい排ガス規制をクリアするために、排ガスを尿素水で浄化するシステムを搭載しています。
そのため専用のタンクを装備し、定期的に尿素水を補充する必用があります。

Web CG – メルセデス・ベンツE350 BlueTEC ステーションワゴン アバンギャルド(FR/7AT)【試乗速報】

BMWやスバル等は尿素水を使わなくても「ユーロ6」をクリアできるディーゼルを開発していますが、いずれにしても現在の排ガス規制はそのくらいしないとクリアできないくらいに厳しくなっています。
マツダの新技術は、これらの後処理装置を使わずに排ガス規制をクリアできるものになっています。

参考リンク

ディーゼルエンジン – Wikipedia
排気再循環 – Wikipedia
第26話 ディーゼルの圧縮比を下げろ!- Green carview

その他のSKYACTIV技術

以下から本サイトでまとめている SKYACTIV 技術記事の一覧が参照できます。

MAZDA SKYACTIV / マツダ スカイアクティブ | Mazda Fun Community

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